TCFD提言に基づく情報開示

気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への対応

当社グループは2021年10 月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(以下、 TCFD)」の提言に賛同することを表明しました。

 

当社グループでは、2021年4月に策定した長期ビジョン「VISION2030」に基づき、当社がこれまで培ってきたモノをつくる技術を活用し、モノとソフトウェアやサービスを組み合わせた「モノ+コト」の新たな価値を提供することで、持続的で快適な日常を実現することを目指しています。その中でも、これからも社会から求められる企業であり続けるために、社会が直面する課題である気候変動リスクと向き合うことは、当社の経営にとっても重要な課題であると認識しています。

以下の通り、TCFD の提言する開示フレームワークに基づき、気候変動に関する情報を開示しました。引き続き、気候変動に関する情報開示を充実させ、より具体的な気候変動に関する取組を検討し、中長期的な事業計画に織り込むことによって、持続可能な社会への貢献と企業価値のさらなる向上を目指します。

戦略

近年の気象災害の激甚化は地球温暖化が一因とされており、脱炭素の機運が高まる中、気候変動は企業経営にとっても対処すべき課題であると認識しています。一方、気候変動はリスクであるとともに、当社の事業活動によって解決に貢献できる機会でもあると捉えています。

気候変動が及ぼす機会とリスクについて、分析対象は、当社の国内における主要事業である輸送機器事業および産業機器(エネルギーマネジメントシステム)事業を対象と考え、また分析対象を2030 年と設定し、当社の事業活動に対して気候変動が及ぼす影響評価を行いました。また、これらの評価では、事業活動に与える影響を分類しました。

2℃シナリオでは、気候変動による気温上昇に対して、以下の機会とリスクがあることがわかりました。輸送機器事業においては、マイカー保有の規制強化により自動車生産台数は減少する一方、公共交通の利用が推奨され公共交通の利便性が求められること、産業機器(エネルギーマネジメントシステム)事業においては、電動化ニーズの高まりにより、製品の省電力化および電力変換の高効率に対する需要がより一層拡大することを機会と捉えました。また、事業全体のリスクとして、原料・資源の価格高騰、災害の激甚化による工場の稼働停止等へ対応を行う必要があることも併せて検討課題として挙がりました。これらの機会・リスクに対して、当社の培ってきた知識と技術および今後必要と想定する技術を融合し対応を進めてまいります。

リスク・機会 影響
リスク 政策・法規制の変化
  • 炭素税の導入による原材料等調達コスト・物流コストの増加
  • 化石燃料を使用した車両保有規制の強化、燃料価格の上昇に伴う顧客の設備投資抑制
  • グリーン電力購入に伴う電力調達費用の増加行
変化する顧客行動
  • 環境に対する顧客意識の変化による環境対応(省電力・省資源等)製品の需要増加および対応の遅れに伴う機会損失
異常気象の激甚化
  • 物流網の寸断による調達・製造能力の低下
  • 異常気象による工場稼働停止
機会 電動化の推進
  • 自動車・産業車両(フォークリフト、AGV)のEV 化が進むことによる、既存製品の置き換えやEV 向け製品のビジネス機会の拡大
  • エネルギー効率を高めた充電器の需要増加、効率運用へのニーズ増加充電器・蓄電池の活用範囲の拡大
公共交通利用の推進
  • 公共交通の利用が推奨されることによる利用客数の増加に伴う設備投資の増加
  • MaaS 関連ビジネスの機会拡大
  • 公共交通網の維持・充実に対する公費投入
  • 公共交通の効率的な運用(キャッシュレス・運行管理負担軽減等)に対するニーズの増加

※国際エネルギー機関(IEA )および気候変動政府間パネル(IPCC )などを参照し、シナリオ分析を実施

リスク管理

気候変動のリスクと機会を識別・評価し、管理するプロセスとしては、気候変動に関する事項を所管する担当部門が、社内関係部門やグループ会社と連携して状況の把握を行い、サステナビリティ委員会その他の社内重要会議体に報告・提言します。サステナビリティ委員会その他の社内重要会議体において、報告・提言された気候変動の影響と対応について審議を行い、識別されたリスクと機会について評価します。その後、少なくとも年1回以上、また、必要に応じて、経営会議を通じて取締役会に報告されます。取締役会は、当該報告を受けて、課題への取組や設定した目標を監督します。

また、サステナビリティ委員会その他の社内重要会議体は、必要に応じてコーポレートガバナンス委員会へ報告・提言を行うことで、気候変動の影響を全社リスクに統合する役割を担っています。コーポレートガバナンス委員会は必要に応じて開催され、リスク管理を所管する各部門や会議体からの報告・提言を評価し、全社リスクの把握と適切な対応を審議し、経営会議を通じて取締役会に報告していますが、気候変動の影響に関する報告・提言があった場合も同様に、全社的な統合的リスク管理への反映の観点から適切な対応を決定します。

取締役会は、サステナビリティ委員会その他の社内重要会議体・コーポレートガバナンス委員会から気候変動に関するリスク管理の状況と対応を含む統合的リスク管理の状況と対応について報告を受け、監督を行います。

ガバナンス

当社グループでは、気候関連問題に関する取締役会による監督体制として、所管する社内重要会議体で審議した気候関連の課題と対応について、少なくとも年1回以上、また、必要に応じて、経営会議を通じて報告を受け、取締役会において審議の上、決議します。

社内重要会議体として、当社グループでは、取締役を委員長としたサステナビリティ委員会を設けています。同委員会は、気候変動等による事業リスク・機会の共有や対策の検討、企業情報開示についての方針の検討・決定を行い、進捗管理を行っています。また、品質担当の執行役員を委員長とした品質環境委員会を設けており、同委員会では、品質や環境の維持管理とグループに関わる品質・環境問題の解決の推進を行っております。

当社グループでは、気候関連問題に関する経営者の役割として、業務執行機関としての経営会議及び代表取締役社長を委員長としたコーポレートガバナンス委員会において、気候関連問題を含むグループ全体のリスク分析と対応を行っています。同委員会は、リスクマネジメントに関わる最高決定機関であり、抽出・分析・評価された重要リスクについて、取締役会に報告しています。

また、当社グループは、ISO14001に基づく環境マネジメントシステムを構築しており、この活動結果は、取締役会に報告されます。

指標と目標

当社グループは、2050 年度までにカーボンニュートラルを実現することを目指し、そのマイルストーンとして2030 年度までの削減目標を設定しました。これらの長期目標達成のため環境マネジメントプログラムを策定し、Scope1・2においては、GHG 排出量の削減のため燃料消費の削減、消費電力の削減、再生可能エネルギーへの転換について具体的な取組を策定しました。また、Scope3 においては、中期経営計画CN2023 における各事業分野の戦略に脱炭素社会の実現への対応を織り込む検討を進めてまいります。

2030年度目標
  • 自己消費燃料50% 削減
  • 購入電力の再生可能エネルギーへの転換30%
  • 生産活動の効率化/ 低消費電力 消費電力20% 削減
2050年度目標

カーボンニュートラルの実現